2018年12月 札幌市西区「メディカルスクエア二十四軒」に開院の整形外科医院「だい整形外科クリニック」 

診療案内

肩の病気

 肩関節の病気の症状は、動かした時の痛み(運動時痛)に加え、寝ている時の痛み(夜間痛)を伴う事が多いのが特徴です。痛みは肩だけではなく、肩から肘の間に感じる事もあります。
 病気として多いのは「肩関節周囲炎」や「肩腱板断裂」「石灰沈着性腱板炎」が挙げられます。
 肩関節の痛みは同じ症状でも原因が違う場合があり、様々な検査によって精査の上、適切な治療を行う事が必要です。


肩関節周囲炎とは

 一般的には「四十肩」「五十肩」という名前で知られています。中年以降の40~60歳位の方に多く見られる病気です。加齢に伴い肩関節の周囲に炎症が起こる事が原因と考えられています。
 症状は肩を動かせる範囲が減る「可動域制限」と夜寝ている時の痛み(夜間痛)が多いです。
 同様の症状を起こす病気としては、次に述べますが「腱板断裂」や「石灰沈着性腱板炎」等があり、これはレントゲン撮影や超音波検査、MRIなどにより区別します。
 経過としては自然に良くなる場合もありますが、自然治癒には2年程度の時間がかかるとの報告もあり、早期の改善には積極的な治療が有効です。通常、手術が必要となる事はほとんどありません。
 当院では肩関節内への注射により炎症を抑えつつ、動きに制限がある場合にはリハビリテーションを行います。また動きがあまり改善しない場合には、癒着した腱板を局所麻酔薬や生理食塩水を用いて剥離する「ハイドロリリース」や、神経ブロック下に肩をストレッチする「サイレントマニピュレーション」を行い、早期の回復を目指します。


肩腱板断裂とは

 40歳以上の方に好発し、60歳代が発症年齢のピークとなります。肩を上げ下げする為に必要な腱板という部分が断裂してしまい、動かした時の痛み(運動時痛)や寝ている時の痛み(夜間痛)を起こします。肩関節周囲炎との違いは、肩の動かせる範囲は正常である事が多いです。
 原因としては、明らかな怪我によって切れてしまうのは約半数で、残りは加齢により腱自体が徐々に痛んだり、長年の使用により日常生活の中で断裂が起きてしまいます。
 検査としては超音波検査やMRIにより腱板の断裂とその大きさや状態を確認します。
 治療としては、残念ながら切れてしまった腱板は自然に治る事がありません。ただ腱板の全てが切れてしまう事は少なく、残った腱板の機能を生かすリハビリテーションと、疼痛を抑える関節内への注射により70%程度の方は症状の改善が見られます。
 症状があまり改善されない方には手術での治療が必要となります。当院では手術を行ってはおりませんが、連携している病院の医師を紹介させて頂きます。また、退院後の通院リハビリは当院で行う事が可能です。


石灰沈着性腱板炎とは

 肩関節の腱板の中に石灰(リン酸カルシウム)が沈着する事により、肩に突然激烈な痛みが生じ、関節を動かす事が出来なくなる病気です。なぜ石灰が沈着するのか、理由ははっきりしていません。
 検査としてはレントゲンや超音波検査により、肩に溜まった石灰を確認する事で確定します。
 当院での治療は、超音波で石灰を確認しつつ石灰を吸引・または周囲へステロイド注射と圧力波治療器による石灰の破壊を行う事で、早期に症状が改善する場合が多いです。
 この疾患は非常に強い疼痛を伴う事が多いですが、治療により素早い改善が見込め、ほとんどが手術加療を必要としません。


肘の病気

 肘の病気としては、主に物を持ったり曲げたりする時に痛みを感じるものと、肘~指先への痺れを伴うものがあります。
代表的なものとして、「テニス肘(外側上顆炎)」と「肘部管症候群」があります。


テニス肘(外側上顆炎)

 物をつかんで持ち上げる動作や、タオルを絞る動作で肘の外側から前腕にかけて痛みが生じます。多くの場合、動かしていない時には症状があまりありません。
 尚、テニス肘という名前になってはいますが、テニスやスポーツをしていない人でも起こる病気です。
 原因は手首の使い過ぎにより、手首を伸ばす筋が肘の外側の付着部で炎症を起こしていると考えられています。
 診断は身体所見、レントゲン以外に、超音波により肘外側の腱の状態を確認して判断します。
 治療としてはストレッチや装具療法がありますが、当院では症状に合わせてハイドロリリースによる腱周囲の癒着剥離や、圧力波治療器による治療を用いて改善を促します。


肘部管症候群

 これは障害されている部分は肘なのですが、主に症状としては手の薬指・小指の痺れとして症状が始まります。病気が進行すると手の筋肉が痩せてきたり、指の変形が起きてきます。
 原因は肘の内側、肘部管という場所(椅子等にぶつけるとビリっとする部分)で、加齢やスポーツによる負荷がかかり神経が圧迫される事によって起こります。
 治療は症状が痺れや痛みのみの場合には、内服やハイドロリリースによる神経周囲の剥離が有効です。但し手の麻痺や筋力低下が起きてきている場合には手術加療が必要となる事があります。その時は連携している病院の上肢専門医を紹介させて頂きます。


腰の病気

 腰痛は多くの方が一度は経験する病気と言われています。その原因は様々であり、また病態により治療が異なる為、正確な診断が必要となります。
 疾患も色々な物がある為、ここでは代表的な疾患についてのみ述べたいと思います。


腰部脊柱管狭窄症

 腰痛以外に、お尻から下肢への痛み・痺れを生じる病気です。
 特徴的なのは間欠性跛行と呼ばれる症状を起こします。これは安静時にはあまり症状が強く無いのですが、背筋を伸ばして立ち仕事をしたり、歩いたりすると太ももや膝から下に痛みや痺れが出て歩きづらくなります。しかし、少し前かがみになって休むことにより、症状は軽くなります。
 進行すると下肢の筋力が低下したり、尿漏れを起こす場合もあります。
 原因は加齢、労働、怪我等による影響で腰の部分で神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される為です。
 治療は痛みを抑える為の神経ブロック、神経の血行を良くするお薬の内服に加え、姿勢を保ち腰以外の部分(股関節など)を含めた可動性も改善するためにリハビリテーションを行います。また下肢の神経痛に対しては電気治療等の物理療法も行います。
 症状が重度の場合(足の筋力が大きく低下している、尿漏れがある等)には手術を必要とする場合もありますが、まずはしっかりとした保存治療(手術以外の治療)を受ける事が重要だと当院では考えています。


脊椎圧迫骨折

 脊椎(背骨)が潰れるように骨折してしまった状態です。転倒や尻もち等の軽度の力が加わって骨折する場合や、まったく怪我が無く寝起きの動作や重い物を持った程度で骨折する場合(いつの間にか骨折)があります。
 圧倒的に高齢者での発生が多く、ほとんどの場合は骨自体が脆くなる骨粗鬆症を合併しています。高齢者の急な腰痛・背部痛ではこの骨折が常に疑われます。
 診断はレントゲンでも可能ですが、骨折初期にははっきりしない場合があり、MRIの撮影が非常に有効です。
 当院での治療は検査で骨折部位を確認の後、コルセットを用いた保存療法を行います。また、圧迫骨折を一度起こした方は再度骨折する可能性が高く、骨粗鬆症の治療も並行して行っていきます。


足の病気

 足に症状を出す病気は、使いすぎや加齢による変形によって起こる場合が多いです。
 症状としては「踵の周りに痛みを起こすもの」と「足の指に痛みを起こすもの」が多く、前者は「足底腱膜炎」と「アキレス腱付着部症」、後者は「外反母趾」が代表例として挙げられます。


足底腱膜炎

 歩行や立ち仕事時に、かかとの内側前方に痛みが出ます。特に朝、起床して最初の1歩目に痛みを感じる場合が多いです。歩く内に徐々に痛みは軽くなりますが、夕方になって歩行量が増えるに従い、再び痛みが強くなってきます。
 スポーツ活動に伴って症状が出る場合もあり、これも同様に開始時に痛みが生じますが運動を続けると徐々に改善し、長時間になるとまた再び痛みが出てきます。
 原因は長時間の歩行や立ち仕事、靴の不適合やスポーツにより、足底腱膜という足底の腱がかかとに付着している部分に繰り返し負荷がかかり、小さな傷や炎症を起こすと考えられています。
 当院での治療は、足の形にあった中敷き(アーチサポート)を作成して足の負担を軽減すると共に、リハビリテーションによるストレッチと圧力波治療器による治療や、足底腱膜へのハイドロリリースを病状に合わせて組み合わせ、早期の疼痛改善と症状の再発予防を行います。


アキレス腱付着部症

 歩行時や上向きに足首を曲げた際に、アキレス腱とかかとの骨の付着部付近に痛みが生じます。進行すると安静時にも痛みを生じる場合があります。
 また、かかとの深い靴を履くと痛みが強くなる場合が多いです。
 原因はアキレス腱がかかとに付着している部分に繰り返し負担がかかり、腱が痛んでしまうと考えられています。発症のきっかけはかかとや足の骨の異常、仕事やスポーツによる使いすぎ、不適切な靴などです。
 当院での治療は、上記の足底腱膜炎と同様に中敷きの作成やストレッチ指導、圧力波治療器やアキレス腱付着部へのハイドロリリースを組み合わせ、疼痛の改善と共に症状の再発を防ぎます。


外反母趾

 足の親指が人差し指の方に「くの字」に曲がってしまい、関節が曲がって突き出した部分が痛みます。変形が強くなると足底にタコ(胼胝)を形成する場合もあります。
 原因としては足に合わない靴の使用、特にヒールの高い靴は外反母趾になりやすいと考えられます。さらに多くの外反母趾患者さんは扁平足を合併しています。
 治療としては足に合わない靴を避ける、本人の足に合わせた中敷き(インソール)を作成し、指の負担を抑えるようにします。初期の頃には足指のリハビリも有効です。
 親指と人差し指が交差するような強い変形には手術加療が適応となる場合もあります。


膝の病気

 膝関節に起こる病気の主な症状は、立ち上がり時や歩行時の痛みと関節に水が溜まる(関節水腫)です。これを起こす病気としては、代表的な疾患として「変形性膝関節症」と「半月板損傷」があります。


変形性膝関節症

 年齢に伴う膝の痛みを起こす病気で、女性に多い傾向が見られます。
 病気の初期は立ち上がり時や動作の開始時に疼痛が見られ、進行すると正座や階段の昇り降りが困難になってきます。さらに病気が進行すると膝の変形が目立ち初め、膝をピンと伸ばす事が難しくなっていきます。
 病気の原因は膝関節の軟骨の老化ですが、肥満や遺伝子も関与しています。
 診断は診察で膝の動きや腫れ・変形の有無、圧痛などを確認の上、レントゲン撮影を行って判断します。必要に応じてMRI検査を追加する場合があります。
 当院での変形性膝関節症の治療は、関節注射や痛み止めの内服・または湿布等の外用薬の使用、太ももの筋力訓練や膝の可動域訓練等のリハビリテーション、膝を温めたり電気を用いる物理療法、さらには膝や足の装具等を、患者さんの症状と病気の進行に合わせて組み合わせて用います。
 病気が進行し疼痛が強い場合には手術加療(人工関節置換術や骨切り術)が必要となる患者さんもいらっしゃいますが、まずはしっかりとした保存治療(手術以外の治療)を行い、症状の改善があまり見られない場合に手術を検討するべきと当院では考えています。


半月板損傷

 半月板とは、膝関節の中にある軟骨のクッションになっている物であり、関節の間に挟まるようにして存在しています。ここが損傷して膝を動かした時の痛みや関節水腫、ひどいときには急に膝が動かなくなる「ロッキング」という症状を起こすものを半月板損傷と呼んでいます。
 半月板が損傷する原因は、スポーツ等の怪我から生じる場合と、加齢により傷つきやすくなった半月板に軽い力が加わって起きる場合があります。
 診断は身体所見のみで予想する事も可能ですが、半月板はレントゲン撮影では写りません。症状などから半月板損傷を疑った場合にはMRI撮影を行って判断します。
 治療は変形性膝関節症と同様に、薬やリハビリ・装具等を組み合わせて行います。但しなかなか症状が改善しない場合や、膝のロッキングを繰り返している場合、半月板損傷と共に膝の靭帯も損傷している場合には手術加療が必要となる事もあります。当院では手術加療は行っていませんが、所見や症状から必要な場合には連携病院の医師を紹介させて頂きます。また、術後の通院リハビリは当院でも可能です。


圧力波治療器
ハイドロリリース